骨粗しょう症について
骨粗しょう症は、骨の量(骨量)が減って弱くなり、骨折しやすくなる病気です。骨の一部を壊す機能(骨吸収)と、それを修復する機能(骨形成)がバランス良く働いて良い骨を作っていますが、そのバランスが崩れる(多くは骨吸収亢進)ことによって骨密度が減少します。骨密度は低いだけでは自覚症状が何もないことがほとんどですが、骨が脆くなることによって骨折を起こしやすくなります。
原因は、生活習慣や加齢、ホルモンバランス、喫煙などがあります。特に女性に多く、患者様の80%以上が女性だといわれています。
骨粗しょう症は進行するとなかなか元の骨密度に戻すことができないため、予防と早期発見がとても重要です。下のチェックリストで当てはまる項目がある方は、骨密度測定をおすすめします。
骨粗しょう症チェックリスト
- 最近身長が縮んだ、または背中が丸くなった
- 些細なことで骨折したことがある
- 家族に骨粗しょう症の人がいる
- 運動や外出する機会が少ない
- 日光に当たる時間が少ない
- (女性)閉経を迎えた (男性)70歳以上である
- カルシウムを意識した食事をしていない
- 煙草をよく吸う
- 日常的にお酒を飲む量が多い
- 体格が細身である
骨粗しょう症で起きる主な骨折
橈骨遠位端骨折
転んだ際に手をつくことで、手首近くにある橈骨が折れてしまい、手首の親指側に痛みと腫れが出ます。児童や骨粗しょう症の中高年女性によくみられます。変形防止のためギプスで数週間ほど固定し、その後リハビリを行います。
上腕骨近位部骨折
上腕骨の肩に近い部分の骨折で、転んだ時に手を伸ばしてついたり、肩を直接打った時に起こります。肩や腕に痛みが生じ、腕を上げたりひねったりすることができなくなります。また、骨折後に肩や胸、上腕部などに内出血が現れることがあります。
脊椎椎体骨折
脊椎椎体骨折とは、背骨が押しつぶされるように折れてしまう疾患です。骨粗しょう症を持つ方は脊椎椎体骨折を起こす可能性が高く、身体をひねる、尻もちをつく際に骨が折れてしまいます。時に外傷等の誘因なく、気付かない間に骨折を起こすこともあります。痛みは安静時には弱いため見過ごされがちですが、身体を動かす際に痛む場合は、早めに医師にご相談ください。
大腿骨頚部骨折
大腿骨は股関節を支える重要な骨ですが、骨粗しょう症で骨密度が下がっていると、大腿骨頚部の骨折リスクが高まります。骨折すると歩行時や起き上がる際に痛みを生じるため動くことができず、高齢者が寝たきりになるきっかけになります。
検査
骨密度測定
微量のX線を当てることで骨密度を正確に測定します。(DEXA法)
血液検査
骨吸収機能や骨形成機能、カルシウム値などを評価します。
レントゲン撮影
背中・腰に症状がある場合、レントゲン撮影で背骨の評価をします。
治療
薬物療法
患者様の生活状態なども考慮し、内服薬(錠剤、ゼリー剤)、注射薬(静注、皮下注)を選択します。主にカルシウムやビタミン剤など骨の栄養素や、骨吸収を抑える薬、骨の形成を促進する薬など多くの種類があります。
運動療法
運動による適度な負荷がかからなければ、骨は次第に脆くなってしまいます。そのため、骨粗しょう症の治療においても適度な運動をすることが大切です。散歩やジョギングなど無理のない範囲の運動を、日常生活の中に取り入れるようにしましょう。
食事療法
丈夫な骨を作るために欠かせない栄養素はカルシウムです。カルシウムが不足すると、骨粗しょう症の進行につながります。乳製品や小魚、大豆などカルシウムを多く含む食品や、カルシウムを吸収しやすくするビタミンDを積極的に摂取するようにしましょう。
骨粗しょう症マネージャーについて
当院には、骨粗しょう症に関する知識と技能を持つ日本骨粗鬆症学会認定スタッフが在籍しています。主に、骨粗しょう症の予防・診断・治療を通して、社会啓発活動と健康格差の縮小、健康寿命の延伸に貢献します。
当院は厚生労働省から認可を受けた
「二次性骨折予防継続管理料3」届出医療機関です。
ロコモティブ
シンドロームについて
ロコモティブシンドロームは、下半身の運動能力の衰えや関節の痛みから始まることが多いです。以下のポイントを確認することで、セルフチェックを行うことができます。
下のチェックリストで一つでも当てはまる項目がある方は、ご相談ください。
ロコモチェックリスト
- 片足立ちで靴下が履けない
- 家の中でつまずく、滑る
- 階段を上がるのに手すりが必要
- 家の中のやや重い仕事が困難(掃除機をかける等)
- 2kg程度の買い物をして持ち帰ることが困難
- 15分位続けて歩けない
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
関節リウマチについて
手や指、肘、膝、足の指などの関節が左右対称に腫れて、痛み、変形、朝方のこわばりなどの症状が出ます。原因は不明ですが、免疫異常によって関節に腫れや炎症が起こる疾患で、30~50代の女性に発症しやすい特徴があります。関節以外の部分にも症状が出るほか、全身症状が現れることもあります。関節リウマチの疑いがある場合、血液検査やレントゲンで関節の変化、炎症の度合いを確認します。
このような症状はありませんか?
- 関節が痛い
- 手がこわばる
- 関節が腫れる
- 手や指が動かしにくい
痛風
痛風になると、足の親指の付け根が赤く腫れ、激しい痛みを感じます。発作的に足の甲や足首、アキレス腱、膝関節、手関節に症状が現れることもあります。痛風の原因は、肥満や暴飲暴食、激しい運動により尿酸値が上昇し、尿酸塩の結晶が関節内に生じて白血球が反応するためです。この状態が長く続くと、腎不全になるおそれもあります。
偽痛風
偽痛風は前兆がなく、発作的に膝関節やその周辺が赤く腫れて強い痛みを感じます。発熱や体重減少を伴うことがあり、膝関節以外に肩関節や足関節に症状が現れることもあります。高齢者に多く発症し、痛風よりも痛みが軽く、症状は数日から1週間程度で治まることが多いです。尿酸以外の結晶で発症する関節炎の総称で、原因は主にピロリン酸カルシウムの結晶です。