リハビリ治療blog 肩関節周囲炎~後編~|横浜市金沢区の整形外科|中村整形外科

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リハビリ治療blog 肩関節周囲炎~後編~

リハビリ治療blog、今回は前編に引き続き、肩関節周囲炎(以下、五十肩)のリハビリに関する内容をお伝えします。

 

―五十肩の主な症状と経過ついて― 【3つの病期をおさらい】

 五十肩は、その名の通り、40歳台から50歳台に好発し、肩関節周囲の痛みや腕が挙げにくくなる関節可動域制限といった症状を主とする疾患です。発症の原因がはっきりしないことも多く、3つの病期「疼痛期」「拘縮期」「回復期」をたどりながら、6ヶ月から2年以内に自然治癒すると言われています。

 

前回のクリニックビルだよりでは、発症初期の「疼痛期」について肩関節の負担を軽減する方法や姿勢に関する自主トレーニングをお伝えさせて頂きました。今回は五十肩の「疼痛期」以降の「拘縮期」と「回復期」のリハビリについてお伝えしていきます。

 

―五十肩「拘縮期」のリハビリ治療とポイント―

五十肩発症初期の「疼痛期」では、肩関節周辺組織の炎症が徐々に進行し、疼痛が強くなる時期です。「拘縮期」では、肩関節周囲の炎症による痛みが緩和しますが、肩関節の拘縮が進行し、肩関節可動域に制限をきたす時期です。肩関節の拘縮により、日常生活動作(着替え、身体を洗う等)へ影響を伴います。

「拘縮期」のリハビリ治療は、肩関節の痛みが無い範囲で運動を行う事がポイントとなります。また、炎症が緩和したばかりであるため、炎症が再燃しないよう「疼痛期」と同様に肩関節に負担が掛からない姿勢や日常生活動作の工夫が必要となります。

 

―五十肩「回復期」のリハビリ治療とポイント―

「回復期」は、肩関節の拘縮と共に痛みも改善してくる時期で、痛みや拘縮が改善してくるため、積極的に肩関節を動かしても良く、自然経過でも治りやすいです。しかし、五十肩の治療を怠ると痛みや拘縮が残り、日常生活に支障をきたす場合があります。そのため、リハビリ治療や自主トレーニングにて運動療法を最後まで継続するのがポイントです。また、反対側の肩も五十肩にならないよう、日頃の姿勢や日常生活動作の工夫を自宅で行うことも重要となります。

―「拘縮期」「回復期」の運動療法―

図のように、当院ではリハビリ専門職である理学療法士が患者様の肩関節を中心に痛みや拘縮の程度に合わせて、関節や筋肉を動かします。主な治療方法としては、リラクセーション、ストレッチ、筋力トレーニングがあります。
肩関節のみではなく、頸部から背骨、肩甲骨、体幹など肩関節の周囲も拘縮や痛みに関係することが多いため、日常生活で動かしにくい動作を確認しながら、リハビリを行います。

 

 

―「拘縮期」「回復期」の自主トレーニング―

 五十肩治療において自主トレーニングも非常に重要なリハビリ治療となります。痛みの軽減や関節可動域の向上、長期間を要する五十肩の治療をより早くし、早期の改善を図るために当院でも自宅でできるエクササイズをお伝えしております。今回はその一部をご紹介します。

 

○僧帽筋中部線維の筋力向上
僧帽筋中部線維は、肩甲骨と脊柱の間にある筋肉で、肩甲骨や体幹の動きに重要となる筋肉です。これは「拘縮期」「回復期」のみならず、五十肩治療の全般で必要な筋力トレー二ングとなりますので、必ず身に着けてほしい自主トレーニングでもあります。


トレーニング方法

図2:背筋を伸ばした状態から始めます 
図3:左右の肩甲骨を背骨に寄せます(背骨あたりに縦のしわが出るくらい意識する)
目安の回数:30回×2セット


※運動のポイント
顎を前に出さないようにし、腕が後ろに動きすぎないようにする
(あくまでも肩甲骨と脊柱の間の筋肉を鍛える運動、腕よりも肩甲骨が動いてることを意識する)

○肩関節周りのストレッチ(右肩の場合)

図5:肩後方のストレッチ
左手で右腕を持ち、左方向へ引くように動かします(*右肩の外側が伸びる感覚が大切です)
目安の時間:30秒~1分×3セット

図6:腕・脇・体幹側面のストレッチ
右腕を頭の後ろに持ってきて、左手で右肘を持ち、左方向へゆっくりと動かします(*右腕・右の脇あたりが伸びる感覚が大切です)
目安の時間:30秒~1分×3セット

図7:ゴムチューブトレーニング
右手でゴムチューブを脇を締めながら、外側へ動かします(*肘が体幹から離れないようにして行うのがポイント)
目安の回数:15~20回×2セット

 

今回、ご紹介したリハビリ治療や自主トレーニングは、一例です。患者様によって、痛みの部位や強さも違いますし、日常的に負担の掛かる原因も異なります。そのため、肩関節周囲に痛みなどの症状がある時には、早期に受診し、症状の改善に繋がる適切なリハビリ治療を受けていただくことが大切です。

 

近年、スマホやデスクワークをする機会が多くなっている時代でもあります。そのため、五十肩でリハビリを受ける患者様は、猫背や巻き肩など姿勢の影響で肩関節に負担を掛けている方が、非常に多い傾向です。また、姿勢の影響で肩関節の痛みだけでなく、首の痛みや腕がしびれるなど、他の症状も伴っている方もいらっしゃいます。

 

中村整形外科では、五十肩の患者様へ理学療法士が個別の徒手治療を中心にリハビリを行っております。また、自宅でもできる運動や日常生活動作の指導を行い、長期間かかる五十肩の治療を出来るだけ早く改善できるように努めています。

 

前回と今回のクリニックビルだよりから、五十肩の3つの病期「疼痛期」「拘縮期」「回復期」のリハビリについてご説明させて頂きました。五十肩の症状は、患者様により異なります。患者様の病期や症状によってリハビリ内容は変わります。肩に症状がある場合やお困りの事がある方は、ぜひ金沢文庫の中村整形外科にお越しいただき医師にご相談ください。

執筆:理学療法士 宮窪優士
監修:医師 中村龍之介