医師治療blog 痛風・高尿酸血症について|横浜市金沢区の整形外科|中村整形外科

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医師治療blog 痛風・高尿酸血症について

痛風は、血液中の尿酸が異常に増え、飽和した尿酸結晶が関節および関節周囲組織に沈着し急激な関節炎を引き起こす病気です。2016年の国民生活基礎調査から推定される痛風患者数は、男性で約110万人、女性で約5万人です。尿酸は細胞の新陳代謝の結果生じる物質で、細胞の成分の一種であるプリン体からつくられる、いわば身体が種々の物質をエネルギーとして消費した後に生じる「燃えかす」のようなものです。血液中の血清尿酸値は一定に保たれていますが、何らかの原因で調節の仕組みが狂うと、血液中で増えすぎて、「高尿酸血症」となります。
男女とも血清尿酸値が7.0㎎/dℓを超える状態を高尿酸血症といいます。血清尿酸値が7~8㎎/dℓの間は生活指導をしつつ要観察、腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病などの合併症を有する場合は、8㎎/dℓ以上で、合併症を有しない場合は9㎎/dℓ以上で、薬物治療の対象となります。治療しないで高尿酸血症を放置しておくと、半年から数年後には、痛風発作の激痛に見舞われる可能性が高くなります。痛風発作の痛みは2~3日から1週間で落ち着きますが、痛風(高尿酸血症)の恐ろしさは、放置しておくと、心臓や脳の血管や腎臓が侵されて命に関わる病気を引き起こすことです。

高尿酸血症の治療には、体内で作られる尿酸を減らす「尿酸合成阻害剤」や尿酸の排泄を促進する尿排泄促進剤が使用されます。こうした薬で血清尿酸値が7㎎/dℓ以下の値を保つようにコントロールします。
そして、大事なのは、血清尿酸値が低くなったからといって、薬を飲むのをやめてはいけません。薬物治療開始後3~6ヶ月は一時的に痛風発作が起こりやすくなりますが、続けて治療を受けていると1年以後は発作が出なくなります。痛風発作が出なくなっても、定期的に血液検査を受けて、血清尿酸値が上がっていないか確かめながら治療を続けなければなりません。高尿酸血症の治療には長い時間がかかります。主治医の指示を守るようにしてください。

尿酸は食事に含まれるプリン体からも作られます。体内で新陳代謝の結果生じる尿酸と、食事として口から入るプリン体からつくられる尿酸の割合は約8対2とされており、これまで言われてきたほどには食事の影響は大きくありません。あまり細かく食事内容に気を遣うよりは、カロリーオーバーに注意し暴飲暴食を慎むなど、節度ある食生活を送ることが大切です。ただし、アルコールは体内で新陳代謝の結果生じる尿酸の産生を上昇させ痛風発作の引き金になるので注意が必要です。(アルコール飲料自体に含まれるプリン体は多くありません。ただし、ビールには尿酸に変化するグアノシンが大量に含まれています。)
このほかに、尿路結石防止のために積極的な水分摂取をすることや、ストレスをためないようにすること、適度な運動をすることが重要です。痛風・高尿酸血症の方は、無酸素運動(息が切れるような運動)は血清尿酸値を上昇させるので要注意です。有酸素運動が効果的です。ウォーキング、水泳、エアロビクス、ジョギング、サイクリングなど自分の生活様式にあわせて選択してください。また、買い物や通勤の時に乗り物を利用せずに歩くようにすることも有酸素運動ですし、掃除などの家事も有酸素運動です。

痛風、高尿酸血症の方の健康管理はある期間頑張ればそれでおしまいということはありません。健康を維持するために一生続けるものだと考えます。無理なく続けられる自分に合った方法はそれぞれ異なります。自分に合った適切な健康管理法を今回解説した基本を元にして続けましょう。
このような症状でお困りの方はぜひ、金沢文庫の中村整形外科へお越しいただきご相談ください。

執筆:医師 浦野 正之